MyData Japan 2017

5月19日に秋葉原コンベンションホールで,MyData Japan 2017が開催された。フィンランドで開催されたMyData 2016の日本からの参加者たちが企画したらしい。資料はサイトで公開されるように言っていた人がいたが,ちがうかもしれない。聴講メモは参考になる。

概要にもあるように「個人情報保護の観点に加えて、市民・消費者が自らのデータを集約し自らの意思で利活用することが重視されている」。2018年から適用されるEU一般データ保護規則(GDPR)には,個人データのポータビリティ,個人のデータ移転の権利が入っている。データのポータビリティはやりすぎという意見もあるが,特定の強いサービスがデータを独占できないように,また,誤ったデータが流通しないようにということであろう。

個人のデータを個人が管理するというのはただしい方向だと思うし,わたしもeポートフォリオやライフログの設計にその考えを入れてきた。

しかし,実装するとなると,どこにどのようにデータを保存するのか,安全性をどのように確保するのか,ポータビリティの仕様をどうするのかなど,技術的,社会的な課題は多い。また,その理想を利用しながら,データを取りあげてやろうというあやしい動きもあるように思う。

結局,トラストの重視だというMy Data 2016での議論が東京大学中川先生から紹介された。OpenPDSを開発するアレックス・ペントランドの「データは誰のものか」でも規制の強化によって信頼を築く構想が示されている。しかし,日本はEUや米国にくらべて法執行機関がぬるい,おそい,恣意的に見える。また,講演者はビジネス側中心で,ことばはたくみだが,データを預けるには信頼できるように思えなかった。“my data"について,個人側に立った意見がもっと増えることが必要だと思った。